CMMIを使った改善では「レベル3が目標です」といった形で使われることがよくありますが、それが何を意味するかはイメージできますか?確かにCMMIには5段階の成熟度レベルがあります。しかしこれは通知表の5段階評価とはちょっと違います。通知表なら全体の分布をみて上位何%が5、その次の何%が4といった形で相対的に決めていきますが、成熟度レベルは絶対的なものです。つまり各々の成熟度レベルに意味があります。

成熟度レベル1(初期:Initial)
混沌としています。
プロジェクトをどのように進めるのかは事前に決まっていません。結果は人のがんばりに依存していて、頼りのエースがこければ全体がこけます。エースは常に忙しく、常にどうやって逃げ出そうか考えています。工数はいつも見積もりをオーバーし、納期前は死者が出ないのが不思議な状態です。

成熟度レベル2(管理された:Managed)
プロジェクトの基本的な管理が出来ています。
見積もりに基づいた計画が作られ、進捗も計画に照らして確認されます。管理にデータを使い始めます。守るべき手順や標準が守られているかをチェックする仕組みも機能します。作業成果物や要件の管理も出来るようになります。

また、それらのプロセスをどう進めるのかは事前に決められますし、それを実施するための教育も行われます。責任分担や誰が関わるのかも明確になり、上司に対する報告も行われます。

これらの管理が出来るようになったことで、同じようなプロジェクトであれば、成功をもう一度繰り返すことが出来るようになります。

成熟度レベル3(定義された:Defined)
組織的な管理が出来ています。
プロジェクトは組織の標準プロセスに基づいて活動します。各プロジェクトによって得られた知識や作業成果物、測定データなどは組織的に集められ、将来のプロジェクトがそれを利用できるような仕組みが機能しています。

設計や開発やテストといった、多くの人が関わる、モノづくりについても適切な方法論で実施されます。また「将来こんなことが起きないように○○をやっておこう」といった先を見越した管理もこのレベルの特徴です。

組織のビジネスゴールを意識してプロセス改善活動が進められますし、人員に対するトレーニングも戦略的に実施されます。

成熟度レベル4(定量的に管理された:Quantitatively Managed)
品質やパフォーマンスを数値で把握出来ています。
「うちの標準プロセスに従えば、過去のデータから予測すると、これぐらいの規模だとこれぐらいのバグが単体テストフェーズで発見されるだろう」といった感じです。

こういった理解ができているので、計画がより正確になりますし、プロジェクト進行中の管理もデータに基づいて意思決定しやすくなります。

成熟度レベル5(最適化している:Optimizing)

データに基づいたプロセス改善活動が日常的に行われています。
「このツールを導入することでかかる費用はこれぐらいだが、生産性がN%アップすることが見込めるので、費用対効果がこうだからやってみよう」という形で改善活動が実施されます。

結果どうだったかというのは一部でのパイロットを実施し、上記のようなデータに基づいて判断します。想定通りの効果が表れればよいですが、そうでなければそのツールの全体への導入を見送る場合もあります。これにより、よりはっきりとした形で効果を把握しながらプロセス改善活動を実施することができます。


これらから分かると思うのですが、成熟度レベル3が普通だというわけでは決してありません。どうも通知表のイメージで「3になってやっと一人前」とお考えの経営層の方もいらっしゃるようですが、そんなことはないのです。私の予想ですが、仮に世界中の組織の成熟度レベルを評定したら、9割以上が成熟度レベル1になることでしょう。

ですから、成熟度レベルのことを理解した上で、改善の目標を設定するようにすることを強くお勧めします。

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